英語音読、まずは3分間からやってみよう!
2021年2月に出版された、横山カズ先生の「独学でも話せる 3分間パワー音読トレーニング(DHC出版)」をご紹介します。
「パワー音読」は横山カズ先生が提唱する音読方法です。
横山カズ先生を知るきっかけは、横山カズ先生のパワー音読セミナーに参加したことからでした。
その後、いくつかのパワー音読に関する本を出版されています。



パワー音読を知ってから音読に対する向き合い方が変わり、まだまだ理想にはほど遠いものの、英語を話す力が向上していると日々感じています。
そして、本書は英語初級者にも優しい、パワー音読本の決定版と言えるような内容になっています!
本書のおすすめポイントをご紹介します!
「3分間パワー音読トレーニング」の目次
本書は、「はじめに」「本書の使い方」「パワー音読(POD)の手順」「音声ダウンロードの利用法」のあとに、3つのチャプター(章)に分かれてます。
Chapter1 マンガでわかるパワー音読
Chapter2 感覚を養うトレーニング
Chapter3 3分間パワー音読トレーニング
横山カズ先生の書籍には、多くの場合、横山カズ先生が通訳者になるまでに至った軌跡が書かれてます。最初のチャプターにそれが漫画という形で描かれています。
チャプター2では、日本語の発想にはない無生物主語、知っていると表現の幅がグッと広くなるitや関係詞などの表現について書かれています。
そして、本書で最も多くページが割かれているのが、チャプター3です。
なんと今回は、パワー音読用例文が100ユニットもあります!!
本書のおすすめポイントに進む前に、「パワー音読(POD)」について引用しながら簡潔に説明します。
「パワー音読」とは、英語を流暢に話せるようにするための音読メソッドです。
以下の6つのステップから構成されています。
- チャンク音読
- ノーマル音読(標準オーバーラッピング)
- ささやき音読
- 和訳音読
- 感情音読(高速オーバーラッピング)
- タイムアタック音読
引用元:3分間パワー音読トレーニング p.10,11より
英文を、まずは①意味のかたまり(チャンク)ごとに音読できるよう練習し、②ふつうのスピードで英文全体を音読します。音声に自分の声をほぼ重ね合わせて音読する方法をオーバーラッピングといいます。
③のささやき音読は特徴的に聞こえますね。こちらは、声を出さずに息を吐いてナイショ話をする感覚で行う音読です。英語の子音の音をはっきり出す必要があるので、子音の発音が強化されます。
④は英文ではなく和訳を音読します。ボクはこれを大事にしています。意味を「なんとなく」理解している状態で音読してもそれは英語の音をリズムよく読み上げているだけで、英文の意味を根底から理解しきれていないと文字に感情が乗らず、自分の体内にインストールされる感覚がないからです。
①から④の段階を経ると、英文の意味をしっかりと捉え、発音が意識でき、感情が乗った状態になっているはずです。ここで、⑤で感情をこめながら音声と同じスピードで感情をこめて音読します。
最後の⑥では感情をこめた音読を3分間何度も繰り返して音読します。
これが「パワー音読」の一連の流れとなります。
やるたびにスラスラと言えるようになったり、気がついたら口ずさめるくらい覚えてしまったり、時間を測って英文を何回音読できるかトライしてみると音読がより楽しくなってきたりします。
「3分間パワー音読トレーニング」のおすすめポイント!
①英文が短く、丁寧な解説付きだから取り組みやすい!
パワー音読の練習をするための英文が100ユニットもあるのですが、一つひとつの分量は多くて、33語、最も少ない英文で5語のものがあります。
5語のものは以下のものになります。日本語を載せます。どんな英文になるか考えてみてください↓
あなたとは、”呼吸が合う”から嬉しいよ。
3分間パワー音読トレーニング p.204より
とても5語で表現できるなんて考えられないですよね。そして、使うタイミングがきたら一息でさらっと言えるようになりたい英文です。本書には気持ちにリンクしたこのような表現がたくさん収録されています。
さて、英語は以下のようになります↓
I’m glad you “get it”.
3分間パワー音読トレーニング p.204より
“get it”はよく使われる表現で、「(言外の意図を)理解できる」という意味です。そこから、「(言葉で説明しなくても)呼吸が合う」というニュアンスになります。
そういえば、元Apple CEOの故Steve Jobs(スティーヴ・ジョブズ)が初めてiPhoneを紹介したイベントで、”Are you getting it?”と言っていたことを思い出しました。
”get it”なんて表現、初耳だよ!
という人も安心してください。
本書はとにかく解説が丁寧です。文中の中で大事な表現には語注がありますし、その中で特筆すべき表現は「瞬発力TIPS」というタイトルで英文が掲載されている反対側のページに細かい解説が書いてあります。
“get it”の意味や使い方もバッチリ書いてあります(上記の”get it”の意味は引用です)。
長い英文でもわずか33語ですし、次に長い英文は27語、多くは10~20語以内ですから、長い英文を音読するのはまだ難しいという初級者におすすめです!
②たった3分間で英語音読が習慣になる!
「パワー音読入門(アルク出版)」で示されていたパワー音読トレーニングは、今回紹介した6ステップで同じですが、時間配分は15分でした。
今回は、タイトルにもあるように、わずか3分間でできるトレーニングとなっています。
「3分間パワー音読トレーニングの目次」のところでご紹介した「パワー音読の6ステップ」の各ステップの時間について、本書の手順のところには以下のような時間配分が表記されています。
- チャンク音読【30秒】
- ノーマル音読【30秒】
- ささやき音読【30秒】
- 和訳音読【40秒】
- 感情音読【50秒】
- タイムアタック音読【余裕があれば+3分間】
引用元:3分間パワー音読トレーニング p.10,11より
①のチャンク音読から⑤の感情音読まで目安の時間で音読練習するとちょうど3分間になります。最後のタイムアタック音読は余裕がある人向けの追加3分です。
最初の3ステップがわずか30秒ずつしかありませんが、前述のように英文がとても短いので、実際にやってみると30秒でも思ったよりの回数を音読できることがわかるはずです。
したがって、まとまった時間が取れない場合でも、最低3分もあれば一つの英文がいつの間にか言えるようになり、少しずつ語彙や英文の背景にある意味が心に浸透し、英語を音読するのが楽しくなってきてプラス3分音読、それができたら次の英文…
というように、英語学習の習慣が生まれてくることと思います。
本書を1ページめくったところのブックカバーの袖のところに、こんなことが書いてあります。
✅ パワー音読は中毒性のあるトレーニング
✅ 流暢な英語が1日最短3分のトレーニングで手に入る
✅ ゲームみたいに毎日勉強したくなる
ボクは英文を見ると、「音読したくなる英文はないかな?」と探し、1日の英語学習で全く音読ができないと歯磨きを忘れたかのようにモヤモヤするのですが、それはパワー音読をやってきた影響かなと実感しています。
③リダクションを意識して発音できる!
本書には「DHC語学」というアプリから音声がダウンロードできるようになっています。
全てのUNITの英文の音声が収録されています。
初級者の中には、この音声が早く感じるかもしれません。文字を見ればわかるけど、文字をみないと聞き取れない部分があったり、音読しているときにどうしてもモデル音声のスピードについていけなかったり…
ナチュラルな音声についていけない理由の一つとして、英単語の音のリダクション(脱落)が頻繁に起こるため、結果的に英語が早く聞こえ、音を認識しづらいという状態が生まれます。
音のリダクション(脱落)とは、単語の最後の”t”,”d”,”p”,”k”,”g”などの子音が発音されなかったり、音が弱形になったりすることを言います。
Unit1の英文の冒頭を引用して説明します。
I understand it’s not that easy, (後略)
3分間パワー音読トレーンング p.38,39より
ここで、”understand”、”not”、”that”の語末の子音の”d”と”t”はリダクションが起こるため、音が脱落する音です。
どこにリダクションが起こるのかがわかるように、見開きの右ページにリダクションが起こる子音が赤で表記されているので、集中してリダクションのみ意識した音読ができるように工夫されています。
横山カズ先生の他のおすすめ書籍
ボクが愛用している、横山カズ先生の他の書籍を紹介します。
「パワー音読入門」
横山カズ先生が「パワー音読」に関する書籍として最初に出版された本です。
「理論編」と「実践編」から成る本書では、前者でパワー音読が生まれるまでのヒストリーとパワー音読のやり方、後者でパワー音読を実践し効果を実感できるように成るための英文が掲載されています。
他の書籍と比べて薄く、サイズがひとまわり小さいため、携帯にも便利です。
詳しくはボクがまとめたブログ記事をご参照ください↓

「英語に好かれるとっておきの方法」
今回ご紹介した「3分間パワー音読トレーニング」の最初に漫画として描かれている、パワー音読が生まれるまでの横山カズ先生のエピソードが詳細に書かれた本です。英語学習を頑張っている人や挫折しそうになっている人、これから始める人にもオススメの本です。
本書を読んで、横山カズ先生のことにご興味がさらにおありでしたら、これは必読書と言える内容です。
後半は本書と同様にパワー音読の6ステップとおすすめのパワー音読用英文が載っています。新書ですので持ち運びに便利ですね。
ブログ記事はこちら↓

「英語”瞬発”スピーキング」
こちらの書籍も理論編と実践編に分かれています。
英文自体は他の書籍と比べ多くはありませんが、本書が他と違うところは、英語が聞き取れるようになるための発音のポイントと練習が初学者にもわかりやすく書かれてあるところです。
具体的には、聞き取りが難しい冠詞・前置詞の発音の仕方(聞こえ方)、アクセントの位置がオリジナルのカタカナ表記で書かれてあります。
本書で発音のポイントに興味を持った方にはオススメできる本です。
1日5分からできる音読トレーニングが10日分用意されているので、こちらの書籍も楽しみながら気軽にパワー音読で練習することができます。
ブログ記事はこちら↓

「ビジネス英語パワー音読トレーニング」
パワー音読用英文が、ビジネスの場面で想定されるやりとりになっています。
ビジネスでの同僚とのやり取りから自己アピール、質問の応酬を受ける場面でのサンプル英文は、ビジネスで英語を使う機会が多い人にとってはとてもやりがいがあると感じます。
まとめ
横山カズ先生の「独学でも英語が話せる 3分間パワー音読トレーニング」は、英語のスピーキングを上達させたい、話せるようになりたい、英語音読を習慣にしたいという人にオススメです。
本書は今まで発表されてきたパワー音読本の集大成とも言えるような内容です。今まで出版されてきた本がいいとこ取りされています。
英語初級者でも英文が理解できるように解説が丁寧に書かれていますし、音声についても触れられています。
横山カズ先生のことを初めて知る方は、ぜひ、最初の漫画のところに目を通してください。
「海外に何年もいない限りは英語はペラペラになれない」と言われた中学時代から、大学進学、バウンサーの仕事で得た出会いから生まれたパワー音読につながるヒント、通訳者としての苦闘と徹底的な英語音読トレーニングが描かれてます。
留学したわけでもなく、挫折をしそうになったけど自ら考え導き出した英語学習法(パワー音読)によって英語の達人へと至る過程を読むと、「自分も頑張ろう!」と勇気を貰えます!
英語初級者にもオススメ!
音読を習慣にしよう!
画像引用元:Amazon.co.jp