自分も絶対に夢を掴んでやる!と自然と思わせてくれる本をご紹介します。
2021年12月20日に発売された、「TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法(IBCパブリッシング/中村光秀著)」です。
中村光秀さんはTwitterで「みち」というハンドルネームで発信されています。
みちさん(以下、親しみと敬意をこめてこう表記します)はTwitterで血の滲み出るような努力と実践を投稿してきました。
通訳という過酷な世界で奮闘されているみちさんが通訳者として働くまで何をどのように学習してきたかとても興味がありましたが、本を開くとそこは、
「英語学習で挫折してしまった人」
「夢を諦めた人」
「自分自身の人生に諦めてしまっている人」
への、優しくもあり強いメッセージが至る所に散りばめられてあり、非常に胸が熱くなる本でした。
本書の読みどころと読んで感じたこと、考えたことをまとめて紹介します。
情熱と努力が生み出した軌跡
本書の第1章はみちさんの「TOEIC300点台から通訳者になるまでの軌跡」が書かれています。
みちさんが実践した英語学習法については第2章から述べられていきます。
英語学習本であれば、読者の方々は真っ先に「同時通訳者になられた方がいったいどんな英語学習をしてきたのだろうか?」ということについて知りたくなるはずです。
しかし、ボクがこの本を読んでとても印象深く、この本が他の英語学習本と大きく異なる部分と思ったのはこの第1章ですので必ずしっかりと目を通して欲しいと思います。
そこには、何度も挫折してきたみちさんが、何を感じ、どのような思いで、夢に向かって対峙し、努力を重ねて、また挫折して、また立ち上がってというストーリーが描かれています。
みちさんは本書についてこう語っています。
単に勉強の方法を説明するだけでは、この本を手に取ってくれたみなさんの、「人生」に対する一生モノのモチベーションには繋がらないのでは、と感じました。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 10ページ
過去の自分が読みたかったような、勇気が出る本を書きたいと思ったのです。
そして読み終わった後には、勉強方法の「羅針盤」を手にすると共に、
「僕/私にもできる」
「今からでも遅くない」
と、抑えきれないほどの迸る熱量を持っていただきたいと思っています。
本の帯にも書いてありますが、みちさんの高校時代の成績は203人中201位で、大学合格を勝ち取ることができず、進学したのは専門学校です。
入学前のクラス分け試験で割り振られたクラスも最下位クラスだったそうです。
しかし、「自分は変わってみせる」「英語が上手くなりたい」という思いと行動、出会いがきっかけとなり、英語習得の階段を駆け上がっていきます。
専門学校1年生だった年の12月からその半年後の6ヶ月計画で、TOEIC800点取得などの具体的な目標を立て、目標達成のための学習プランを立てています。
そのことについてこう述べています。
この半年間で私が英語に費やした時間は膨大なものでした。放課後は友人の飲み会を断り、夜遊び仲間とも縁を切り、英語の勉強に明け暮れました。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 16ページ
平日の授業時間外で、「毎日最低5時間やらないと寝てはいけない」というルールを自分に課しました。
平日の授業8時間以外にプラス5時間です。しかも、アルバイトもされているのでとてつもないタイトなスケジュールです。
体調を崩されることもあったようですが、徹底的な学習の努力が徐々に結実し、知識が集積してきた先にわかる実感が生まれ、自信とモチベーションが生まれてきたそうです。
みちさんはこれらの経験から、
語学の才能は自分でも一生育める。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 17ページ
今苦しくても、英語力は必ず伸びる。
と、力強い、勇気を与えてくれるメッセージを送っています。
この後、大学編入から初めての挫折経験、英語から離れて就職、通訳現場での経験、通訳者としての活躍と突きつけられた現実、コロナ下での苦闘などが紡ぎ出されていきます。
ここまでみちさんのキャリアの最初の部分を中心に本文を引用しながらお伝えしてきましたが、みちさんが英語習得や英語学習において特別に恵まれた環境にいたわけではなく、
挫折や葛藤、いくつもの悔しさをバネに、「どうやったら夢を掴めるか」を考え、がむしゃらに行動し、道を切り開き、軌跡を作り上げてきたということが実感できると思います。
その点においてリアリティがあり、行動とその結果だけでなく、心の動きまでもがくっきりと書かれてある点において、非常に読む価値のあるストーリーです。
また、本書を手に取った人が、ぜひ夢を諦めたり人生を投げやりになってほしくない、これから獲得できる後天的能力によってぜひ夢を掴んで良い人生を送って欲しいという温かく優しい、そして力強いメッセージも必見です!
独り言英会話のリアルな取組方法が学べる!
第2章から、英語学習法について展開していきます。
もちろん、英語学習初期の方向けの学習方法についても述べられています。
ボクが最も注目した箇所は、「独り言英会話」のところです。
話す相手がいなくても、その日の出来事や目にしたもの、経験したことを英語で話す「独り言」という学習法を英語の達人の方々の多くがおすすめされていますが、
あまり具体的なやり方を耳にしたことがありませんでした。
おまけに、みちさんも述べているとおり、ハードルが高いと個人的に感じています。
ボク自身もうまく習慣化できていないので、ぜひ参考にしたいと期待に胸を躍らせながら読み進めました。
まず、「独り言英会話」を紹介するにあたって、みちさんは、
「日本じゃ話す機会さえない」「海外留学しないと英語は話せるようにならない」こう考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。英語学習を始めたての頃の私は、「国内では英語は身につかない」と完全に諦めていました。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 84ページ
しかし、独り言英会話に出会い、その概念は覆りました。
独り言英会話に10年間も取り組んできたみちさんはさらに続けて、
現在の通訳/翻訳者の職に就けた理由も、「独り言英会話」で話す練習を徹底し継続したからです。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 85ページ
英語の達人であるみちさんも独り言英会話で英語力を向上させてきたうちの一人です。
みちさんオリジナルの独り言英会話を取り入れた学習法が記されています。
まず、独り言英会話を以下のふた通りに区別します。
- 日常編
- 時事編
ちなみに、習慣化できていませんが、ボクが独り言英会話を実践するときは、以下のことを話していました。
- 今日の予定を話す(気持ち、期待、理由などを含む)
- 前日の出来事を話す(説明、気持ち、理由などを含む)
- 歩きながら目にしているものを描写したり、感じたことを気ままに話す
- ニュース記事を誰かに説明するように話す(記事中の語句をなるべく使う)
みちさんの分類に分けると、①②③が日常編で、④が時事編です。
長くても10分かからない程度ですので話す分量は少なめですが、やる方向性は間違っていないのだとわかりました。
問題はその取り組み方です。話したら話しっぱなしであることがほとんど(というかほぼ全て)で、せいぜいやることといえばわからなかった語句を辞書で調べてそれでおしまいにしていました。
本書では独り言英会話の手順とやり方、そして添削方法まで一連のフローとしてわかりやすく書かれてあります。
また、真似したいと思ったのは以下のみちさんの毎日行っていることです。
日頃、意識的に行っていることがあります。寝る前の10分間を内省時間に充て「自分への取材」を欠かさないようにしています。その日の言動の反省、「ありがとう」と思えた瞬間など、思いのままに記録として日本語に残しています。
TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法 84ページ
日本語でメモしたことを英語にすれば、普段日本語で誰かで話すであろうことを全て英語に置き換えることができ、英会話をストックできますね。
そしておそらく、本書の第1章で見てきた倒れても起き上がり前に進むみちさんの原点は、日本語で日々を赤裸々に記すことで常に自分の気持ちと向き合ってきたからではないかと思いました。
心の底にある気持ちが浮かび上がるたびに、その思いを強くするだけでなく、日本語での思いと英語での思いが表裏一体がっちりと結びつき、英語力を強固にしていくのかもしれないとふと思いました。
本書監修者の横山カズ先生との共通点
本書は、同時通訳者、翻訳家、英語講師として幅広くご活躍されている、横山カズ先生監修となっています。

著者のみちさんは横山カズ先生のセミナーで影響を受け、横山カズ先生の「パワー音読」も実践し英語力を磨き上げてきたそうです。
お二方とも同時通訳者です。英語の達人です。そんなお二方の共通点に今回気づきました。
それは、
どうやったら夢を掴み取ることができるかを考え、行動し実践していく
ということです。
形は違えど、難しい学生時代を過ごし、「言語」を操って活躍したいと思っていてもそのことばで傷付けられ、英語から離れる時期もあり、通訳学校にも通っていたわけでもなく、留学した(できた)わけでもなく、
それでもできない理由ではなく「どうしたら実現できるか」というアクションプランを英語関係の書籍や周りの人のアドバイスから収集した中で計画し、実行してきたことです。
そして、お二方の書籍それぞれがそれぞれの経験を元に、第一にストーリーを語ることで、「才能は(もともと備わっているわけではなく)努力を通じて自ら獲得できる」「英語は何歳からでもやればできるようになる」ということを読者に伝えようとしています。
ボク自身、このお二方ほど血の滲むような努力はできていませんししたこともありませんが、努力を積み重ねてやりたいことに到達できた、成し遂げルことができた経験がある身として、これから頑張る人の気持ちに、このお二方のように寄り添い、誰かのためになることができたらと心から思いました。
その意味でも、読んでいてとてもインスピレーションが沸き、胸が熱くなる体験を得ることができました。
まとめ
「TOEIC®︎300点から同時通訳者になった僕の英語学習法」は、通訳者になりたいと考えている人はもちろんのこと、英語学習に関わる全ての人におすすめの書籍です。
英語学習者としてみちさんの英語学習法と苦闘の記録はとても参考になります。
いや、それ以上に、英語学習書を超越した人生指南書、いや指南ではなく、倒れかかった人生をうまく支えてくれる本と言えます。
すみません、日本語でうまく表現できないのでみちさんに怒られてしまいそうですが、英語学習だけでなく、英語学習以外でもうまくいかないことがあったときに支えになってくれる書であると感じます。
学生の方々はもちろん、親や保護者が子どもに薦めて読ませてあげて欲しい1冊です!
そして、これから先のみちさんも注目です!
うまくいかなくてもまた明日から一歩ずつ前に進んでいきましょう!
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